よくある日記

「ごめん...」の先に

ご覧いただきありがとうございます

ここは私(みどペン)が、「育て辛っ!」と思う息子たちや、「クセ強っ!」と思う夫と、なんとか明るく楽しく穏やかに過ごすことを目指してあれこれやってみたり、やらなかったりする様子を、書いてみたり、書かなかったりするブログです。お時間とお気持ちの許す限りお楽しみください。

今日は小説風でいきたいw

土曜、深夜。

みど子はふと目が覚めると同時に喉に渇きを覚えた。

隣に眠る夫は珍しくしっかりとした寝息を立てている。

それでも聴覚が敏感な夫を起こしてしまわないように、ゆっくりと滑り降りるようにベッドを抜け出し、

抜き足差し足よろしくキッチンへ向かった。

 

果たして、キッチンからは光が漏れていた。

「(誰だ?電気を消さずに寝たヤツは?)」

 

起き出したのが夫でなくて良かった。

夫は、当たり前といえば当たり前だが、もうずっと長い間変わらずに、みど子より神経質だ。

室内の気温、湿度、明るさ…

様々なものを調整する。

みど子は夫の作る快適空間で快適に過ごすのが好きだ。

 

みど子自身はまめに調整しないのだが、「この状態では(夫的に)まずい」というのは感じ取れる。

喉を潤すついでに電気を消してまた寝ようとキッチンのドアを開けた。

 

キッチンとはいえ、そこはカウンターキッチンで、リビングと直結しているタイプの部屋である。

リビングエリアに3人の人。

正確には、長男と、次男と、長男の彼女がいた。

土曜深夜。

3人はまったりとした空気の中、会話を楽しんでいる風だった。

一瞬

「(あ、邪魔しちゃった。)」

と思ったみど子だったが、

いや、違う。

長男カップルはともかく、次男はいかん。

中学生が起きてていい時間はとっくに過ぎている。

 

いつもそんなに早く寝る次男ではないのだが、

それであっても、土曜であっても、もうこの時点で寝ていないと、

ここから2週間程度の睡眠リズムに障る。

 

本能がみど子にそう告げていた。

 

「次男はもう寝なよ。」

と。

頭の中では「(とんでもねぇ!いつまで起きていやがる!!!)」と、みど子自身の眠気は一瞬で吹っ飛んでいたが、

表には…7割程度の漏れで済んでいたであろう。

それでも3割しか感情を隠しきれないみど子だ。

先週の3連休の週末とは違う。

通常の週末なのだ。

 

とはいえ、3人の穏やかな雰囲気や

ここから大声を出して夫まで起こしててしまうのではないかというリスク

「理解ある母」を演じる気持ち…

 

瞬間色々なものが頭をよぎったが、

出てきた言葉は

「いずれにせよ次男は寝ろ。今日はここまではしょうがないけど、明日はこんなに夜ふかしは許さないよ!」

だった。

 

時計の針は午前3時を差そうとしていた。

 

日曜、深夜…のちょっと前

思いの外長男カップルとまったりと話し込んでしまった。

長男がいかに「当然履修されているであろう漫画・アニメ・ゲームを知らない」ということについて。

 

うむ。

みど子も多少は責任を感じないこともないが、

そこまで無理強いをした覚えも遠ざけた覚えもない。

無理強いをしていたのであれば長男とはもっと『銀河英雄伝説』について語り合っただろうし

「とんでもない!」と遠ざけていなければ、あんなに苦労してマイクラに竹MODを入れさせられることもなかったろう。

 

そんな話の流れから

「久々に『桃鉄』をやろう!」

ということになった。

 

我が家の『桃鉄』の最新版は令和の初め頃に発売されたバージョンだ。

小学に上がった次男が地理に興味を持つんじゃないかと夫が率先して購入したものだ。

ちなみに夫と私はまだ子供たちが生まれる前は習慣的に『桃鉄』対決や『ぷよぷよ』対決に勤しむ夫婦であった。

令和版『桃鉄』で家族で盛り上がることを夢見て買った1作だった。

 

実際は…色々な不調がダラダラと続き、思ったほど家族で盛り上がるシーンは少なかったが、

みど子的にはいつの間にか我が家に吹き始めた新時代の風を感じながら、

あらためて『桃鉄』を楽しむのも良いのではないか、と。

 

自室でPC作業をしている次男も誘って4人でやろう!ということにした。

長男、次男、長男の彼女、私の4人だ。

 

時刻は21時30分。

遅くとも23時には次男を就寝準備にもっていかなければ

という頭がみど子にはもちろんあったのだが、

既に少し眠そうな次男。

1時間程度遊んで、それからは今日はスッと寝るかもな。

という期待とともに、

「5年?」

という長男を制止して

「3年で。」

と。

 

急いでやれば1時間程度で終わるだろう…

 

と思ったミド子だったのだが…

この面子、意外とじっくりプレイ派が多数を占めた。

 

誤算だ。

 

カードもじっくり

物件購入もじっくり

行き先選定もじっくり

 

ついうっかり冬の赤マスに止まるみど子とは違うプレイスタイルに鼻白んだ。

 

まずい。

私が眠い。

 

いや、次男も相当眠そうではないか…

 

早く、早く…

 

という願いも虚しく、CPU側の悪意を感じざるを得ない采配で、

ゆっくりと、そして大胆に順位が入れ替わりつつ決算を迎えた。

 

ラスト4連続同一人物がゴールなんて…

ゆるさないw

 

『桃鉄』は親心をもってプレイするゲームではないと思い知った。

エグいプレイなどできないではないか。

近い内に夫と一緒に恨みっこ無しの50年勝負でもしようと心に決めたみど子であった。

 

時計を見ると23:30。

リビングゲーミングはお開きとなった。

 

次男はさっきまで大あくびの連続だった。

今日はこれですんなり眠りにつくだろう。

明日は6時30分に起こして、今週はスッキリ元気に月曜日!

…だったらいいな、と淡い期待とともに一旦みど子も自室のベッドに横になる。

 

日曜、深夜

「寝る前に水分をとったほうがいい」

どこから仕入れた情報かは忘れているが、みど子は寝る前にもう一杯水を飲もうとキッチンへ…

行こうとしたが、

途中、次男の部屋から漏れる明かりに気づく。

「!!!」

完全にメタルギア・ソリッドの「見つかった」効果音が頭の中で鳴り響いた。

 

「(なぜ寝ていない?)」

「(まさかとは思うがネットの友人と談笑?)」

その「笑」を感じた瞬間、みど子の理性がどこかへ飛んだ。

「なんで寝てないんだ???」

「昨日…昨日とは理由が違うんだよ…」

「明日は月曜…」

「俺が…俺がどんな思いで…」

一人称が狂うくらいの怒りに支配されたみど子は遠慮も配慮もない鋭さで次男を睨んだ。

 

「分かってる」

「分かってる」

「今、もうちょっと、ここまで…」

 

と、残り数小節分と思われる部分が空欄のDAW(PC作曲ソフト)の画面...

 

「(するってぇと、何か?お前は仲間たちと楽しく談笑しながら作曲三昧だってぇのか?)」

みど子は決して江戸っ子ではない。

だかしかし、

次男の「分かってる」が「全然分かってない」なのは知っている。

いや、「分かっている」のは真実かもしれないが、

「分かったところで適切な行動ができない」のだ。

 

この子の…

この子の…

先の読めなさは…

やはり「障害」なのか…?

だったらだったでなんなのさ?

みど子にだって言いたいことはあるのだ。

 

「あんたの「分かってる」が一番信用できないんだよ!」

「何回おんなじこと繰り返してんの??」

 

「ママがそうやって言ってくるから寝る準備できないんじゃん!!」

「この時間が無駄なんじゃん!!」

 

今回は両者一歩も引かないパターンだ。

次男は…こういう時にしおらしくなる人間ではない。

キッとみど子の目を見つめるその目にも怒りが溢れていた。

 

かつて、

「たかだか7歳8歳の子供を親の威厳でいうこと聞かせられなくてどうするんだ?」

と問われたみど子だった。

嫌な記憶が蘇る。

 

油断した瞬間みど子の両目からは涙が溢れ出た。

 

7歳8歳でもああだった次男は今13歳。

最初から威厳や威圧でどうなる話でもなかったのだ。

 

互いに鉾を収めるのが一番だと理解し合えるようになったのは成長の一部だ。

みど子自身も。

 

ここは

「おやすみ」

でフィニッシュが最適解。

 

騒ぎを聞きつけた長男カップルが様子を見にきた。

「『桃鉄』に誘ったタイミングが悪かったね」

との分析だ。

 

みど子と次男は間髪あけず

「いや、その後だ。」

「いや、その後だ。」

と言い切る。

 

そうだ。

その後だ。

「『桃鉄』は楽しかったね」でいいのだ。

「分かってる」じゃないか。

 

その後、それでもまだいい足りなさを感じたみど子は

「でも、なんでそっちが逆ギレみたいになってるのかは理解できない!!!」

と言い放つ。

「自分だって、こっちが悪いのは分かってるよ!でもさ…

ああ、もう、どう考えていいのか頭が…」

 

耐えろ、みど子。

次男ももう限界だ。

というわけで、この日ようやく互いに「おやすみ」を短く交わしたみど子と次男は眠りについた…はずだ。

 

日曜、もっと深夜

 

さすがにもう寝てるかまでは見に行かない。

次男も結局眠れぬ夜を過ごすことになってしまっただろうか…

それでも明日、6時半に起こしてみるだけだ。

 

うう…

しかし...

腹が立つな…

あの憎しみの色をした目はなんだ…?

憎い...

憎いのか...

私も次男が憎いのか…?

そんな…

まさか…

 

...

...

...

眠れない。

2時を過ぎてしまった。

 

久々に涙で袖が濡れる。

なかなかに大きな粒の涙が両目から溢れ出て、耳の穴に入った。

すする鼻水の音で夫は起きてしまわないだろうか…

 

明日は月曜。

みど子は5時に起きて夫の弁当を作るのが日課なのだ。

もちろん仕事もある。

 

寝なければ…

寝なければ…

 

そうだ…

マインドフルネスだ…

とりあえず呼吸や…心拍に意識を向けてみよう…

足の感覚…毛布の肌ざわり…

これを教えてくれた長男のスクールカウンセラーさん元気かな...

(注:マインドフルネス…この時点でかなり自己流なので、「深呼吸」くらいに読み替えてもらっても…)

 

ヨガ教室でこういうことしてて気持ちよくて寝ちゃったこともあったよな…

あれを…そう…今日はあれを求めてるのよ…

 

と…

 

ようやくみど子は眠りについた…

 

 

…が!!!

場所は実家の隣の祖父の家。

テイストは…80年代の洋画風。

みど子は「くまハンター」。

クリクリした茶髪の80年代風外国人がクマとはいえそれほど大きくもない個体を抱いて近づいて来たかと思ったら

みど子の眼の前にドサっとクマを投げた。

「次はお前の仕事だ」

とばかりに目配せされる。

 

みど子の役目は…

クマにとどめを刺すことだ。

みど子はクマハンターなのだ。

 

当然のように懐からサバイバルナイフを出すと、

みど子は…考えた…

考えた…考えに考えたが…

クマハンターなのだ。

 

後から思うと

「なんでそのヴィジュアル?」

というツッコミしか生まれないのだが、

確かにみど子は夢でクマにとどめを刺した。

 

次はどうやらヒグマがこちらに近づいてきているらしい。

相当でかい個体らしい。

 

私はクマハンター

 

クマハンターの役目は…

期待されていることは…

 

わかる。

わかるのだが…

 

無理だ。

怖い。

  

祖父の家から隣の実家に逃げ込めば…

まだ助かる確率が上がるかもしれない。

今なら私一人で隙をつけそう…

 

思わず祖父の家の庭に飛び出したみど子。

 

ああ、これ、フラグ立てた。

私駄目になるやつだ。

クマ、こっち来るわ…

 

そう思ったところで目が覚めた。

 

3時半。

なんて夢を見たんだ。

 

あの私がとどめを刺したクマは...次男くらいの大きさじゃなかったか?

うそだ?

私…

一線を越えたのか?

 

いや、

連日のクマ報道。

直前に聞いたオーディブル作品が中山七里の『能面検事の死闘』だったし。

最近また犯罪系の振り返りyoutubeも見ちゃったし。

さっき「映画館では洋画が見たい」って話もしたし...

むしろそのへんがわかりやすくごっちゃになっただけのごく単純なストーリーではないか。

 

それなのに…

次男に抱いた憎悪の深さに驚きすぎているみど子もいた。

 

水を飲もう…

 

今度こそ、真夜中に、抜き足差し足、薄暗い廊下を通り、水を飲んで気持ちを落ち着け、

帰りに...

次男の部屋を覗いてみる...

 

うーん…

さっきのクマと同じくらいの大きさと転がり方してるな…

 

なんともいえない居心地の悪さとともに自室に戻るみど子。

明日、どんな顔で次男に接したらいいのだろうか。

 

月曜、朝

6時30分を電波時計でしっかり確認してみど子は次男の部屋へ行った。

肩を軽くゆすり、いつものように

「次男ちゃん、6時半だよ~。どうする?45分まで寝る?」

と声を掛ける。

「ねー、どうする?」

すこしだけ追撃。

 

いつもは

「うーん…」

「まって…」

「まだ…」

などとほざく次男がこの日はっきりと言ったのは… 

 

「ごめん…」

 

だった。

 

え?

「ごめん?」

それって…

 

次男にも反省する機能が備わっていたのだろうか?

 

続きを聞こうにも要領を得ないいつもの答えしか返ってこなくなったので、

しかたない。

通常モードで営業するしかないではないか。

 

そんなこんなで

いつものように起こし続けたら、意外とすんなり。

6時40分頃には朝のおかずのリクエストも決まり...

いつものように...

「先週は頑張ったし、今週は後半がテストだから…今日は休む」

という話に…

 

ううう…

そんなことになるのは予想できていたみど子であったので、そこにあまり動揺はなく、

先週はなんだかんだで週3日登校したなぁ

などと振り返りながら、学校へ欠席の連絡を入れた。

そろそろ「この親、相当ヤバい」とか思われている気がする。

月曜、夕方

そんなこんなで、みど子と次男は昼に「これうまいよね~」などと言いながらみど子のふるさと味のカップ麺を喰らい、なんということもない一日を過ごした。

 

仕事が終わったみど子は、ふと思いついて次男に聞いてみた。

「今朝、朝一で「ごめん」って言ったの覚えてる?」

と。

「あれって…」

と。

 

「ああ…なんか、ギリ覚えてるかも」

と次男。

「ええー?あんた、一晩中「ママに悪かったな…」とかって思ってたの?眠れたの?」

と、もう、ここへ来ると心配モードになるみど子。

 

そんなみど子に放たれた次男の言葉は…

「いや…あれ、多分…別の話…なんだったかは忘れたけど。ぜんぜん違うと思う。」

 

!!!!!

 

そうだ。

次男は…朝一で強烈にボケた寝言をたまに言う子だった。

 

おそらく全然違う話というのはホントのことだろう。

次男も素っ頓狂な夢を見たのか。

 

やれやれと軽くため息を付きつつ...

我ながら、次男ながら、

めんどくせぇ親子だな

と思うみど子だった。

 

「ごめん…」の先に私はいない。

(了) 

 

 

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