ご覧いただきありがとうございます
ここは私(みどペン)が、「育て辛っ!」と思う息子たちや、「クセ強っ!」と思う夫と、なんとか明るく楽しく穏やかに過ごすことを目指してあれこれやってみたり、やらなかったりする様子を、書いてみたり、書かなかったりするブログです。お時間とお気持ちの許す限りお楽しみください。
えー??
にも「次男は今年は「調子を整えるための休み」みたいなのを適宜挟みつつ」と書いてますが…
「調子を整える」もなかなか難しいわけで…
以下、なんとなく「小説風」に書こうかな?
登場人物:
ジロウ(次男)
ミド子(みどペン)
タロウ(長男)
夫(夫)
ってことで。
新学期前日
6年に進級するジロウの春休みも今日で終わるという日。
夕飯の支度をしながらミド子は静かな緊張感と戦っていた。
「(明日、ジロウはすんなり登校できるだろうか?)」
数年前から毎年「不登校児」にカウントされるジロウである。
とはいえ5年の終わりには傍から見るといたって「フツー」の小学生という状況にはなっていた。
ただ、ミド家の不登校はこれまでぶり返さなかったことはないのだ。
夕飯の献立はジロウの好物の牛肉のステーキだ。
もう一つの好物である「お寿司」も考えたが、万が一生ものに当たってお腹をこわしてはいけない。
とにかく今夜は過熱したものを食べさせよう。
焼き加減もウェルダン気味に。
とはいえ始業式はほとんど行って帰ってくるだけの1時間。
クラス替えと担任の発表を見るだけのイベントだ。
クラス替えの結果はともかく、強引にでも送り出してしまえばとりあえずなんとかはなるはず。
ミド子はそんなことを考えながら、気持ちだけいつもより早めに夕方の家事を進める。
「パパはまだ帰ってきてないけど、もうご飯食べちゃおうか?」
「♪明日がある~♪明日がある~♪明日があるからさ~」
努めて明るく。
下手な替え歌を交えて…
ジロウの明日への認識度合いを探らずにはいられない。
「うん。」
ジロウは「明日」というワードになんの反応も示さないような返事をした。
ただの
「腹減ったから飯」
の小学生だ。
そんな少し早めの夕飯を済ませた後、先ほどの肩透かしがどうしても我慢できなかったミド子は
「もう今日はこの後すぐお風呂も済ませちゃえば?」
「今日だけは早く寝てもらう!」
「明日から学校だよ!」
「分かってるの?」
と、一気にまくし立てた。
「うぇ~…。10時半。10時半でいいでしょ。分かってるって。」
いい顔ではない。
ジロウは寝る直前に風呂に入る派なのだ。
「10時半」は「致命的な夜更かしをしないための最低ライン」としてみど子とジロウの間で一番新しく交わされた約束だった。
ここでそれ以上詰めるのは得策ではないとこの数年でみど子も学習した。
長男のタロウに比べてジロウの方が「約束」に対する感情が激しい。
タロウに通じる「ナアナア」がジロウには効かないことがある。
「約束」は「約束」でお互い守るべきものなのだ。
お金の貸し借りもしっかり1円単位で清算するのを好むジロウだ。
とはいえ…こっちとしては結構見逃していることもあるんだがな…
調子のいいことを調子よく言うジロウに軽くため息をつきながら、ミド子は「10時半」に自身のスマートウォッチのアラームをセットした。
「あんたは電話してもいっつも繋がらないから」
と数年前に夫がミド子にプレゼントしてくれたものだ。
最近このスマートウォッチでアラームをセットしておくと何かと便利であることに気づいた。
自宅の中とはいえ…いや、活動領域が主に自宅の中であるからこそスマホは意外と自分と離れたところにあるのだ。
最も、最近はこうして「自分のためのアラーム」に役立つことはあっても…夫からそんなに電話なんてかかってきているだろうか?ということは疑問だが…
10時半になる。
3分待つ。
そんなにガッツいてると思われたくないことと、確実に「10時半」が過ぎていることを明確に理解してもらうため。
個々の時計の差なんてほとんど無いはずの環境だが…「念のため」だ。
ジロウの部屋をノックする。
無言だが、笑顔で、「(風呂の時間だよ)」と、親指をクイッと背中の方向にある風呂場へ向ける。
ハッとしたジロウが机の上の電波時計を見、私の顔を見、
「わーってる。わーってる。」
と。
熱中していたのは音楽作りだろうか。
相手のいるネットゲームではなかった。
それならジロウの言葉の通りほどなく切り上げて風呂に入り始めるだろう。
しつこさは禁物だ。
ミド子は笑顔のまま大きく頷くとジロウの部屋を後にした。
そのタイミングでタロウが廊下へ出てきた。
「何?」
ミド子は尋ねた。
この時間いつもタロウは部屋でネットを介したコミュニケーションに夢中なのだ。
トイレに行くわけでもなく、お茶を飲むでもない、そんな様子のタロウに胸騒ぎがして、もしかしたら少し強い口調だったかもしれない。
「あ、いや、風呂に入って今日はそろそろ寝ようかと…」
!!
「ダメダメ!今からジロウが風呂入るって言ってるから!」
「ジロウは明日から学校なの!」
「タロウは後でもいいでしょ?なんなら明日の朝でもいいんじゃない?ママはそれでもいいよ!」
ダメだ。
タロウもひどいがミド子も明日を意識しすぎだ。
動揺が隠せない。
タロウは高3に上がるという状況だが、高2の時に全日制から通信制の高校に転校した。
昨年は大まじめに高2になる始業式に出席したが
「〇ソみたいなイベントだった」
と言って帰ってきたので、今年はタロウの始業式に関してはミド子も完全に忘れていいものとしていた。
そんな風にタロウは「マイペース」な環境の中でとりあえずはおだやかに生活している。
タロウからしたら
「え?そうなの?」
程度のことでしかないだろう。
それでいいのだが…かわいいジロウのためにここはひとつ肌を脱いで…いや、服を脱がないでいてくれという話だ。
「へーい」
最近タロウがよく見せる軽薄な口調で返事をするとまた自室に戻っていった。
やれやれ。
リビングに戻ると、
「ジロウは風呂に入ったのか?」
と、こちらも「落ち着いている」とは言えない口調の夫が言う。
「多分もうすぐ入ると思う。危なくタロウに先越されちゃうとこだったわ。」
ミド子はここでも努めて明るく「何でもない」風に報告する。
感情を乱してはいけない。
波風を立てなければ穏やかな明日が来る筈なのだ。
タロウ、ジロウ共に不登校だった頃、家族全員がヒリヒリしていた頃、
そんなものは無かったと決して思えるわけではないが、
過去は過去で、明日は明日。
今日できることは…ジロウが長風呂しすぎないように風呂の戸をノックして「お休み」を言うくらいだろうか。
子供を信じて…いや、信じすぎないで寝てしまうに限る。
さあ、新学期が始まる。
先生アレコレ
今年の新学期のスタートはスムーズな方だとミド子は思った。
昨年度からの担任が持ち上がりだったのだ。
その担任は前年度に初めてジロウの学校に赴任してきた先生で、
それまで親子共に傷つき、こじらせ、2年ほどかけてようやく回復期にあったミド子とジロウの前に突然現れ、
偏見のない目で「大丈夫、大丈夫」と常に前向きなメッセージを発してくれる人だった。
その勢いに半ば押されるように、ジロウの5年生は一気に駆け抜けられた感じだった。
ちなみにジロウは4年の時に近距離転校をしている。
どうしても学校を変えたかったのだ。
当時の転校先の校長にはそれまでの経緯をこれでもかという程丁寧に訴えた。
「とにかくこの話を聞いてくれ」というミド子の一方的な我儘とも言えたかもしれない。
A4用紙30枚程度にまとめた紙を渡した。
一人の人に対してあれほど言葉をたくさんぶつけたのは初めてだったかもしれない。
「気が狂ってる親子が来たな」「面倒だな」と思われたのかもしれないが、当時のミド子はそこまで追い詰められていたのも事実。
転校先の校長はそれを受けてか受けずか、正確なところは今となってはわからないが、
「この学校で一番優しい先生のクラスにしておきましたよ~」
と。
私たち親子を優しい笑顔で受け入れてくれた。
人間不信気味になっていたミド子は一瞬その笑顔すら営業スマイルだと思ったりもしたが、
人間不信気味なのがミド子の本質とはズレていたのであって、基本的には表面に見える「いい人そう」を信じることにした。
新しい担任にはミド子の綴った重~い文書は「校長先生の判断で必要があれば伝える」ということにしておいてもらった。
曲がりなりにも学校を変えてまで心機一転しようとしているのだ。
余計なことを知らなくても上手くいくときは上手くいくし、いかないときはいかないはず。
とりあえず「なんか大変なことがあって転校してきた子」程度の認識でもいいとミド子は思った。
腫物の状態ではなじむものもなじまない。
ただ、小4のジロウは決して安定しているとは言えなかった。
それでも「学校で一番優しい先生」はその評価に違わず丁寧に接してくれた。
経験の浅い若い先生だったが、前向きに、あきらめず、ジロウの気持ちに寄り添ってくれた。
当時の我が家に足りていない「フレッシュさ」がその先生を通して吹き込まれてくるようだった。
ジロウの学校への警戒心がだんだん薄れてきたことをミド子は感じていた。
焦らず、慎重に、ジロウがどうありたいのか、見極めた。
「学校にはいずれ戻らなきゃいけないと思ってる」
ジロウにとってそこは変わらないようだった。
それならば、周りはあまり騒ぎ立てずにいよう。
その後一進一退を繰り返しながら進んだ1年だった。
そして、5年生。
校長の采配なのかどうかは…教員の人事には詳しくないのでわからないが、
先に書いた新着任の本当に真っ新な…
というか、不登校であったジロウの様子を全く知らない担任に当たった。
前年のジロウの様子なんて、話して聞かせても信じてもらえないかもしれない。
そのくらい昨年度のジロウは「フツー」の小学生だった。
それでも途中に怪しい期間はあって、結局よくわからない休みが30日は超えたと思うのだが、
トータルの印象としては不登校に悩んでいる様子はなかったと思う。
実際5年の時の長期欠席はミド子としては心に余裕ができていた。
ジロウ自身も、
ここで休むとしばらく学校に行きづらい
これ以上休むともっと行きづらい
でも、そのうち行かなきゃいけない
…
が解像度高く理解できて来ていたんだと思う。
行ったらどれくらいしんどいかも。
その辺の折り合いをジロウなりにつけられるようになっているように見えた。
ミド子は密かに「プロの不登校」と名付けていた。
そんなわけで、基本的に5年の時の欠席時は私があまり乱れなかったので、担任とのやり取りもスムーズなまま終わった。
ただ、5年の終業式はジロウは欠席をした。
ミド子は密かに
「今年は終業式に通知表を受け取りにいかなくていいぞ」
と、そんなことでウキウキしていたので、少なからずショックは受けた。
「まー、しょうがないか」
苦笑いしながら担任に夕方通知表を受け取る約束を取り付けた。
小5の一年はジロウの様子が安定していたこと、
「学校楽しい」という言葉が自然と出ていたこと、
感謝の意を直接伝えられてよかった。
それまで2年ごとのクラス替えが1年ごとになるというので、その時点で「持ち上がりはないな」と勝手に踏んでいたミド子は
この先生にここまで感謝の意を述べる機会は今日が最後という覚悟であいさつした。
が、
持ち上がりだったのである。
拍子抜けはしたが、助かったことの方が大きいはずだ。
タロウの時も担任が変わるたびに個人面談までに
「タロウの取説」みたいな、紙まではなくとも「小話」程度にはまとめて話さなくてはならなくて、
毎年新学期は頭を悩ませていた。
それが今年は免除されたようだ。
ありがたい。
転校してよかった。
ミド子は受け取れるラッキーは素直に受け取ることにしているので、こういう時は素直に喜んでいたい。
4度目の「今日は調子が…」
こうして迎えた新学期。
それでも既に3日か4日、ジロウの朝の様子が変な時がある。
2度はサクッと
「じゃあ、今日は休みにする?」
と。
「プロの不登校」だから。
3度目は…
ミド子としてはそんなさわやかに許せていなかったかもしれない。
「プロの不登校」と「休み癖」が同じ質量で迫ってくるのを感じた。
ランドセルを背負って、外には出たのだ。
登校班の場所まではなんとなく毎日付き添っている。
浮かない顔に浮かない足取り。
「具合悪いの?」
と聞くべきか否か。
…
…
もうすぐ登校班のメンバーに視認される。
そうなっては「休みたい」と言ってもなんだか妙な具合になるだろう…
「(無理していいことあったかい?)」
ミド子がミド子に問いかける。
「具合悪いの?どうする?今日はやめとく?」
ミド子の口から自然と発せられた。
「休む」
それだけ言うとジロウはクルッと振り向き、自宅の方にあっという間に駆けていった。
「走ったな…」
ミド子はそれまでのトボトボ歩きのジロウを思い出して、そのギャップを鑑み、
「今日は休みでいっか~」
と、登校班と学校に大急ぎで連絡をしつつ、
「プロ不登校」の心得として経験値を上げた。
この時期は新学期の後にすぐGWに入り、せっかく順応した生活スタイルがリセットされてしまう。
加えて土曜に授業があると…
ジロウでなくても調子は狂うだろう。
今年度はとくに教師の働き方改革に関するお知らせがたくさん届き、学校側のその本気度は伝わるのだが…
それならば協力して土曜授業の日を廃止にできないものか。
本気でミド子は考えている。
そんな、土曜授業のあった週末が明けた月曜。
ジロウの足取りが重い。
今年度4回目と思われる「謎の休み」に発展しそうだ。
ちなみに、これまでの3回とも、一応は「体調不良」であり、確かに体調は不良なのだと思う。
だから、おそらく公式記録では「謎の休み」ではない。
ミド子が勝手に「謎の休み」だと思っているだけだ。
毎回
「この程度で学校を休むのか?」
と頭の中で問いかけるミド子もいるのだ。
それは、いるのだから仕方がないと思っている。
思っていてもジロウにあまり心の負担をかけないように「休養」してもらう。
そのために各方面の連絡は怠らず、簡潔に。
それが「プロの不登校」を支えていくのだ。
…と、ミド子は自分に言い聞かせているわけではないが、あまりそこにこだわっていてもミド子自身がつかれてしまうのだ。
共倒れへの恐怖は大きい。
ただし、今回は
「なんだかんだで簡単に休むことに慣れてきてはいないか?」
「今日の体調不良はスッキリしたら復帰可能ではないか?」(←トイレ関係)
「様子を見て遅刻でも行ってしまう方がいいのではないか?」
ということを…
ミド子は努めてマイルドに、明るく伝え続けた。
ここのさじ加減は…なかなか難しい。
わが子に関してだけに特化されているが、この部分はプロの領域に達したのでは?
と、そんなことさえ浮かぶ。
その日ジロウは遅刻で登校した。
ちなみにタロウはこうして「ちょっと遅れてでも行く」ができなかった。
完璧主義なのか、あきらめが速いのか…
タロウの時の反省も踏まえ、
「遅刻が心理的負担」として根付いてしまわないうちに
「遅刻でも行けたよ。どうということもない。」
という実績を作ってしまったのだ。
一見学校に行った行かないに一喜一憂しているようにも見えるだろうが、
ミド子自身はそれよりも「子供たちとのコミュニケーションが取れているか否か」
の方が重要だと思っている。
子供たちに本心を話してもらえなくなったら自分はどれほど落ち込むだろうか。
ジロウが学校から帰ってきた。
帰ってくるなり
「室内ウォーキングマシンで目をつけているものがある」
と、Amazonのページを見せられる。
ジロウが通常モードで物欲を全開にしている。
ミド子はうんざりしながらも、この日のことがまた一つ過去の実績…いや、もっと気楽な「思い出」として保存されていくのを感じた。
本当に書きたかったこと
(前置き長すぎになったわ^^;)
4度目の「謎休み」未遂時。
遅刻を選ぶと保護者が付き添って学校までいかなければならない。
その日はちょうどミド子の仕事は休みだったので、ゆったりした気持ちで付き添ったのだが、
その途中の他愛もない会話になるはずだったトピック
「タロウの小学校は土曜の授業はなかった」
自治体が違うので、おそらく今でもタロウの所属していた小学校は完全週休二日制だと思う。
それで何も問題なかったので、さらに今の自治体の今の制度に不満が募る。
話はその頃の思い出に発展したのだが…
ジロウは当時幼稚園だったはずだ。
「ああ、そういえば、あそこにいたとき、ものすごいウザイやつがいて、ジロウにスゲー責めてきた」
と。
「そんなことあった?」
と、全く印象にないミド子。
「なんか、子供と親がわーって集まってるとこで、トミカよりも小さい青い透明なミニカーがあって、それをジロウが壊したってめっちゃ言われた」
そこまで言われても記憶が蘇らないミド子。
「え?そんで、どうしたの?ママなんて言ってた?」
「笑ってただけだった。」
…
…
「周りにいたなんか女子たちも向こうの味方になって、責めて来た」
「ちなみにジロウはそんなミニカー触ってもいなかったんだからね」
「結局、「俺が今やってるゲームの正式名称を答えられたら許してやる」とか言われて、ジロウはそれをだいたい知ってたんだけど、その時はわかんなくて、言えなくて、悔しかったから家に帰って覚えた…」
のが、
「ジオメトリーダッシュ」
「どうせあいつ無料版しかやってないだろと思って「ジオメトリーダッシュLite」って覚えた」
と!
当時、全く取り合わなかったミド子に対する不満をにじませながら、ジロウはそんなエピソードを話した。
ジロウらしさはその時から健在たっだようだ。
嫌なことの記憶は簡単には消えない。
知らないうちに人を傷つけているかもしれない。
普段はサラッと流れるような言葉が自分事としてミド子に刺さったひと時だった。
ジロウ、なんか、ごめん。
学校着いたわ、さぁ、行ってこい。
ミド子は校舎へ向かうジロウの背中にありったけの愛を込めた。
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